春に咲いた草花、暖くなって大きく生長した植物を切り戻す季節です。切り戻した茎を挿し穂にして植物を増やす方法と、猛暑が予想される今年も管理を楽にする方法を紹介します。
挿し芽とは
挿し芽(さしめ)とは、親株から切り取った茎や芽を土や水に挿して発根させ、新しい植物を育てる繁殖方法です。
種まきに比べて発芽率が安定し、短期間で親株と同じ性質の苗を得られるのが最大の特徴です。
挿し芽のメリット
- クローン繁殖:親株の性質(花色や耐病性など)を受け継ぐ
- 成長スピード:種まきより早く苗を育てられる
- コスト削減:種を買わず手持ちの株から増やせる
ただし、切り取った葉の部分だけを挿す「葉挿し」は親株と全く同じにはならないようです。
葉挿しのやり方はこちらで解説しています。
>>お花も葉っぱもかわいい、アジュガを葉挿しで増やそう
挿し芽に適した植物
生育が旺盛で、節がある植物が挿し芽に適しています。具体的には、
・バジル、ミント、タイム、ナスタチウムなどのハーブ類
・ローズマリーやラベンダーなどの低木
・ビオラ、芝桜、ぺチュニア、バーベナ、ブルーデイジー、ゼラニウムなどの草花類
・観葉植物(ポトス、アイビーなど)
挿し芽に適した時期
挿し芽に適した時期は、春(3~5月)と秋(9~11月)です。
春は気温が安定して発根が早く、秋は夏の暑さが和らいで根張りが良くなります。
植物にもよりますが、花が咲いた後の切り戻しの後に行うと、剪定枝が有効に使えます。
基本的な手順
- 新しすぎず、古すぎない健康な枝を選び、5~10cm程度に切る。
- 下葉を取り除き、切り口を斜めにカットし、1時間ほど水につけておく。
この時、水にリキダスやネメデールなどの活力剤を少量加えるとなおよい。 - 挿す直前に切り口に発根促進剤を塗布すると成功率アップ。
- 清潔な土に割りばしなどで穴をあけ、挿し穂が折れないように挿す。
この時、1~2節が土に埋まるようにする。 - 明るい日陰で管理し、土が乾かないようにこまめに水やりや霧吹きで保湿をする。
このように挿し芽は初心者でも取り組みやすく、ガーデニングの楽しみを広げてくれる方法です。
次は、挿し芽から苗にするまでの管理方法についてご紹介します。
・挿し芽に必要な資材はこちらから購入できます。


一般的な管理方法
- 水やり
挿し芽後は土の表面が乾きかけたらたっぷり潅水。 - 日当たり・温度
置き場所は直射日光は避け、明るい日陰で管理。温度は15~25℃が適温。 - 発根確認
指で軽く引いて抵抗を感じたら発根のしるし。薄めた液肥を与える。 - 植え替え
ポットの底から根っこが確認出来たら、一回り大きな鉢や地植えに移し替える。
管理を楽にするヒント
挿し芽の作業自体は初心者にも簡単に行えるものです。
しかし、問題はそのあとの管理です。
個人的な事になりますが、私は体調が不安定でそのため3日ほど水やりができない時があります。
それから、こんなにガーデニングをやっているのになんと外の水道がありません。
とにかく水やりを減らしたいのです。
そのために挿し芽に関しても以下のような工夫を行っています。
私の工夫:黒ポットの半地植え
挿し芽した黒ポットをポット底から半分土に埋める方法です。
密になりすぎないように、3~5cm間隔で埋めています。
水やり軽減に加えて、他にもいくつかのメリットをまとめてみました。

メリット
・水やりの省力化:土に埋まった部分から自然に水分を吸収するため、乾きにくく給水回数が減る。
・温度緩衝効果:地中の温度は安定するので、根が急激な寒暖差にさらされにくい。
・倒伏・飛散防止:ポットが風や雨で倒れにくく、苗をしっかり固定できる。
・根域管理:地中とポット内の根の張り具合がわかりやすく、必要に応じて植え替えが可能。
・害虫の発生予防:湿度が高くなり、底面にナメクジが発生しやすくなるのを予防。
・低コスト:特別な道具や資材は不要、お金がかからない。
このように、一般的な基本管理と「半地植え」を組み合わせることで、挿し芽苗は手間少なく、安定して育てられます。
挿し芽の注意点
ここで、挿し芽を行う場合の注意点を確認します。
挿し芽を行う場合は、その植物が登録品種であるかどうかを確認しましょう。
登録品種とは、種苗法に基づいて農林水産省に登録された新品種のことです。
育成者の許諾を得ずに登録品種を増殖したり、他人に譲渡・販売したりできません。
どうやって確認するかというと
・登録品種の種苗ラベルには以下の言葉が表示されています。
1. 「登録品種」の文字
2. 「品種登録」の文字及びその「品種登録の番号」
3. PVPマーク
・農林水産省の品種登録データベースで検索する>>品種登録データ検索
注意点をまとめると
・家庭菜園内の自家利用はOK
・自宅の敷地以外への持ち出し、他人への配布や交換は禁止
・フリマアプリ等での販売は禁止
・無断使用は、損害賠償請求や、刑事罰の対象になる可能性も。
最後に
今回は、手軽に植物を増やせる挿し芽の方法に加えて、私がやっている挿し芽の管理方法についてお伝えしました。
なんだこれだけのことかとお思いかもしれませんが、かなり手間を省いてくれます。
風が強い日などはポットが転がって台無し…なんてこともありますよね。
一度の手間であれこれ省力出来ますので、ぜひお試しください。
植物も大切ですが、暑い日にガーデニングしている人間の体も大事にしましょう。
最後までお読み下さりありがとうございました。
コメント