春から初夏にかけて、まるで庭に純白のレースを広げたように咲き誇る「オルラヤ・グランディフローラ」。その繊細で可憐な姿は、どんな花とも相性が良く、ナチュラルガーデンには欠かせない存在ですよね。
次々と咲く白い小花の集合体は、見ているだけで幸せな気持ちにさせてくれます。
しかし、美しい花のシーズンは永遠ではありません。一番花が終わり、茶色く色褪せた花がらが目立ち始めると、「もう今年のオルラヤも終わりかな…」と、少し寂しい気持ちになる方も多いのではないでしょうか。
ちょっと待ってください!
その咲き終わった花、そのままにしていませんか?実は、オルラヤは「花がら摘み」という、ひと手間を加えてあげるだけで、見違えるほど長く、たくさんの花を咲かせてくれるポテンシャルを秘めているんです。
さらに、上手に管理すれば来年のための「種」を収穫することも可能。この記事では、あなたの庭のオルラヤを最大限に輝かせるための、「開花と種取りを両立できる方法」を、分かりやすい図解付きで徹底的に解説します。
なぜ必要?オルラヤの花がら摘みがもたらす嬉しい3つの効果
そもそも、なぜ花がらを摘む必要があるのでしょうか?面倒に感じるかもしれませんが、この作業には植物にとっても私たちにとっても嬉しいメリットがたくさんあります。
1. 開花期間が劇的に長くなる!
植物は、花が咲き終わると、子孫を残すために「種」を作ることに全エネルギーを集中させようとします。花がらをそのままにしておくと、株は「よし、種作りに集中するぞ!」と判断し、新しい花を咲かせるのをやめてしまうのです。
そこで、咲き終わった花がらをこまめに摘み取ることで、「まだ種ができていない!もっと花を咲かせなければ!」と植物に思わせることができます。これにより、株は次々と新しい花芽をつけ、開花期間をぐっと長くしてくれるのです。
2. 見た目を美しく保ち、庭全体の景観アップ
茶色く枯れた花がらが残っていると、どうしても全体的にくたびれた印象になりがちです。せっかく他の花が綺麗に咲いていても、なんだか残念な景観に…。花がらを摘むことで、株全体がスッキリと若々しい印象になり、庭全体の美観を保つことができます。
3. 株の消耗を防ぎ、元気に保つ
種を作る作業は、植物にとって非常に体力を消耗します。特にオルラヤは一年草(または二年草)扱いのため、限られた寿命の中で一生懸命に花を咲かせ、種を残そうとします。必要以上に種を作らせないことで、株の余計なエネルギー消耗を防ぎ、株そのものを健康に保つことにつながります。
【図解で一目瞭然】これが正解!オルラヤの花がら摘みのカット位置
それでは、いよいよ実践編です。花がら摘みと一言で言っても、どこで切るかが非常に重要。間違った位置で切ってしまうと、次に咲くはずだった花まで摘んでしまうことになりかねません。
こちらの図を見ながら、正しいカット位置をマスターしましょう!

ステップ1:オルラヤの花の咲き方を理解しよう
まず、オルラヤがどのように花を咲かせていくのかを知ることが、正しい花がら摘みへの近道です。
① 頂花(ちょうか):最初に茎のてっぺんに咲く、一番大きくて立派な花です。
② 側花(そっか):頂花が終わる頃、その下の茎の脇から伸びてきて咲く花です。
③ 次の蕾(つぼみ):側花が咲いている茎をよく見ると、さらにその途中から小さな蕾が出てきています。
オルラヤは、①→②→③というように、次々と脇から花芽を出しながら、開花リレーを続けてくれる健気で賢い植物なのです。
ステップ2:カットするのは②の花!場所は「次の蕾(③)」のすぐ上
花がら摘みの対象となるのは、咲き終わって茶色くなった②の花(側花)です。
カットする位置は、図の赤い線で示されている部分。つまり、次の蕾(③)が出ている付け根の、少し上でカットします。
【なぜこの場所で切るの?】
- 次の蕾(③)を活かすため:もし③の蕾よりも下で切ってしまうと、せっかくこれから咲こうとしていた可愛い花を摘んでしまうことになります。これは絶対に避けたいですよね。
- 見た目を綺麗にするため:もし花首のすぐ下で切ってしまうと、花のない中途半端な長さの茎だけが残ってしまい、枯れ枝のようで見た目が悪くなります。③の蕾のすぐ上で切ることで、カットした跡が目立たず、自然で美しい草姿をキープできます。
この「次の蕾を確認して、その上でカットする」というルールさえ守れば、誰でも簡単にプロのような花がら摘みができますよ。ハサミは、切れ味の良い清潔なものを使うと、茎の断面が潰れず、植物へのダメージを最小限に抑えられます。
全部摘まないで!来年のための「種取り」成功の秘訣
「花がら摘みをすると、種が採れないんじゃ…?」と心配になった方、ご安心ください。すべての花がらを摘む必要はありません。来年の春も美しいオルラヤに会うために、上手に種を収穫しましょう。
種取り用に残すのは「①の花」
図の①の花、つまり一番最初に咲いた立派な頂花を、種取り用として残しておくのが最もおすすめです。
なぜなら、頂花は株の栄養状態が最も良い時期に咲くため、大きくて充実した、発芽率の高い優良な種ができる可能性が高いからです。いわば、一番元気なエリートの子孫を残してあげるイメージですね。いくつか株がある場合は、それぞれの株で一番元気な花をいくつか残しておくと良いでしょう。
種を収穫するベストタイミング
種取りは、焦りは禁物です。花が終わった後も、すぐに収穫してはいけません。
1. 花が完全に終わり、緑色だった種の元が茶色くカサカサに乾燥するまで、じっくりと待ちます。
2. 見た目はイガグリのようにトゲトゲしています。指で軽く触れてみて、ポロポロと簡単に外れるようになったら収穫の合図です。
3. 梅雨時期と重なる場合は、雨に濡れてカビが生えないように、軒下などに移動できる鉢植えは移動させましょう。
収穫した種は、茶封筒などに入れて、日付と花の名前を書き、秋の種まきシーズンまで涼しい冷暗所で保管してください。
オルラヤの種取りについてはこちらで詳しく解説しています。
>>【来年も無料で楽しむ】初心者でも簡単!オルラヤの種取り方法と保存のコツ
オルラヤの花がら摘み・管理に関するQ&A
Q1. 花がら摘みをしないと、どうなりますか?
A1. オルラヤは非常に丈夫なので、何もしなくても枯れてしまうことはありません。しかし、株はすぐに種作りにエネルギーを使い果たしてしまうため、開花期間が短くなります。また、こぼれ種で翌年思わぬ場所からたくさん発芽することがありますが、間引く手間がかかったり、庭の計画が崩れたりすることもあります。
Q2. 「切り戻し」とは違うのですか?
A2. 「切り戻し」は、株全体を半分くらいの高さでバッサリとカットし、株姿を整えたり、再び芽吹かせたりする剪定方法です。一方、「花がら摘み」は咲き終わった花だけを個別に摘み取る作業です。オルラヤは次々と脇芽から花を咲かせる性質なので、株全体を切り戻すよりも、こまめに花がらを摘んで開花リレーを応援してあげる方が、長く花を楽しむ上で効果的です。
Q3. カットした花がらはどうすればいいですか?
A3. 基本的には、病害虫の発生源になる可能性もゼロではないため、他のゴミと一緒に処分するのが安全です。花がきれいな状態でカットすると、切り花にできて素敵ですよ。
まとめ:ひと手間で、オルラヤの魅力を最大限に引き出そう
清楚で可憐なオルラヤ。その美しさを少しでも長く楽しむための秘訣は、今回ご紹介した「花がら摘み」にあります。
- 咲き終わった花は、次の蕾の上でカットする
- 種取り用には、一番花の元気なものを残す
たったこれだけのシンプルなルールですが、実践するかしないかで、開花期間と庭の満足度は大きく変わってきます。
もちろん、すべての花をこのように花柄摘みする必要はありません。種を採りたい数株だけで十分足ります。お花を楽しみたい株は頂花の花殻もカットしてしまって構いません。ご自身のお庭に合わせて応用してみてくださいね。
愛情を込めてひと手間かけてあげれば、オルラヤはきっとその期待に応え、次から次へと美しい花を咲かせてくれるはずです。そして、秋には収穫した種をまき、来年の春を心待ちにする…。そんな植物との豊かなサイクルを、ぜひ楽しんでみてくださいね。
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