この記事では、暖地地方に住む私が実践してきた自然受粉によるパンジー・ビオラの種取りの方法を詳しく解説していきます。
パンジー・ビオラの種取りの時期
パンジー・ビオラの種取りに適した時期はずばり春です。
パンジー・ビオラの販売は年々早まっており、早ければ9月からでも苗が出回っています。
ですので花期は、秋から春までの長期間にわたります。
しかし、秋はまだ苗も小さく種を付けるには株に負担をかけてしまいます。
冬は成長が遅くなり、種もなかなか熟しません。品種によるかもしれませんが種自体ができにくいように感じます。
春になれば、成長も進み、花は次々に咲いてきます。
株自体も大きくなり体力がついていますので、花を咲かせながら種を付けさせることができます。
パンジー・ビオラの種取りの方法
4月になったら種を付けさせる
私はわざわざ人の手で受粉は行っていません。蝶や蜂などによる自然受粉に任せています。
人工授粉も行ったことがあるのですが、難しく、管理がかなり手間でした。
一番簡単な方法は、花ガラを摘みながら、種ができているかどうか確認することです。
花びらがしおれた頃に花ガラを摘みますが、その時にガクのあたりをつまんでみてください。
種ができているものは、ゴロっと硬い感触があります。膨らんだ部分を残してしおれた花びらだけを取り除きましょう。
硬くなっていないものは種ができていないのでそのまま摘み取ります。
花ガラ摘みは、花をたくさん咲かせるために欠かせない作業ですが、完ぺきにする必要はありません。
取り残した花が種を付けていることもあるんです。
手を抜いたことで来年の楽しみができるなんて最高ですね!
種を取るタイミングを見極める

種が熟していく過程は次のようになります。
- 種ができると最初は下を向いたままで徐々に膨らむ(画像黄色の〇印)。
- 種が熟してくると上向きになっていく(画像オレンジの〇印)。
- 種が完熟するとさやがはじけて種が飛ぶ(画像赤い〇印)。
私のお勧めは、「2」の段階での収穫です。
理由は、この時期に採っても十分に熟していて、発芽率に問題がないからです
また、お茶パックのような袋をかけて、「3」の状態まで待つ方法もよく紹介されていますが、やっぱりお花を観賞したいです。お茶パックが紛れているお花は観賞価値が下がってしまいます。
お茶パックを使用する方法は、実際に私もやってみたことがあるのですが、うまくつけられず隙間ができてしまい取りこぼしてしまいました。
うまくつけられる方や、バックヤードで種取りする方にはしっかり熟した種が取れるので、お茶パックを使用するのもいいと思います。
もう少しタイミングについて詳しく言うと…
種が上向きになった後、しばらくすると(数日から1週間程度)種の周りにうっすら茶色い筋ができてきます。開く前の状態です。その時が種取りにオススメのタイミングになります。
4月に種の出来はじめを確認して、種を取ったのは5月上旬になりました。
種を取った後は

上の画像はうっすら茶色い筋ができたタイミングで収穫したものです。
ここから乾燥すると自然とはじけるので、乾燥しやすいようにガクを取って紙袋に入れて保存します。

紙袋に入れておいた翌日、もうはじけて中の種が出てきていました。
種の色は濃い茶色から黒で、十分発芽してくれそうです。
私は紙袋に室温で保存しています。エアコンのきいた室内であれば8月から種まきができます。
種取りで気づいたこと
パンジー・ビオラの種取りをし始めて気づいたことがあります。
一つ目は、種の取りやすさに色や花形が関係しているのではないかということです。
原種に近い紫はたくましく、種もどんどんできますが、品種改良されていて凝った花色・花形のものは種が付きにくく感じます。
品種改良は育種家さんの努力の賜物ですね。
・種がとりにくい…赤・黄・水色・ベイン・フリル
・種がとりやすい…原種に近い紫
二つ目は、親と同じものが咲くとは限らないということです。
これも自然受粉なら当然といえば当然ですが…。
私は最初に「よく咲くすみれ」という種からまき始め、毎年種取りをしたものから咲かせていますが、時折これまでに全然見たことない花色の組み合わせが出てくることがあります。
こういう宝くじみたいな楽しみが植物の世界にはあるなとつくづく感じさせられます。

皆様も、植物の沼にはまってみてはいかがですか?
さいごまでお読みくださりありがとうございました。
コメント