捨てないで!コーヒーかすが絶品野菜を育てる「ほったらかし発酵肥料」に大変身

木製テーブルの上にあるコーヒーカップと、瓶に入ったコーヒーかす、背景には家庭菜園のイチゴ。 庭づくり
いつものコーヒータイムが、美味しい野菜を育てる第一歩に変わります

毎日のコーヒータイムで必ず出る「コーヒーかす」。ゴミ箱に捨てるのはもったいないと感じませんか?

実はそのコーヒーかす、家庭で簡単に「ぼかし肥料」に生まれ変わります。しかも、ほぼ0円で、驚くほど甘い野菜が育つ絶品肥料になるんです。

この記事では洗い物が面倒なズボラさん必見の「ビニール袋だけで完結する」手軽な方法をご紹介! 私もこの方法で、ミニトマトやイチゴを劇的に甘くすることに成功しました。

ゴミが宝物に変わる、小さな循環生活を始めてみませんか?

なぜそのままじゃダメ?コーヒーかすを「ぼかし肥料」にする理由

「コーヒーかすって、そのまま土に混ぜても良いんじゃないの?」と思う方もいるかもしれません。実は、乾燥させたコーヒーかすをそのまま土に撒くと、いくつかの問題が起こる可能性があります。

コーヒーかすは、土の中で微生物によって分解(発酵)される過程で、土の中の「窒素」という成分を大量に消費してしまいます。窒素は植物が成長するために欠かせない栄養素。それを微生物に横取りされてしまうと、植物が栄養不足(窒素飢餓)に陥り、かえって生育が悪くなってしまうことがあるのです。

そこで「ぼかし肥料」の出番です。
あらかじめ米ぬかなどの栄養分と一緒に発酵させておくことで、コーヒーかすは植物にとって吸収しやすく、栄養豊富な状態に変化します。生育を阻害する心配がなくなり、むしろ土壌を豊かにしてくれる最高の資材に生まれ変わるのです。

材料はたった3つ!ほぼ無料で揃える方法

このぼかし肥料の魅力は、なんといっても材料が手軽に、しかもほとんどお金をかけずに揃うこと。必要なのは、以下の3つだけです。

  1. コーヒーかす
  2. 米ぬか
  3. 無糖ヨーグルト

それぞれの集め方をご紹介しますね。

1. コーヒーかす

コーヒーかすはドリップした後の紙フィルターに入ったまま、上部を洗濯ばさみやクリップで留め、風通しの良いところに吊り下げておきます。私はあまり使わないコンロの上にかけています。皆さんは火事などにならないよう、ご自身にあった場所を探してみてくださいね。

コーヒーフィルターを吊り下げてか明かしている様子。
レンジフードに吊り下げられたコーヒーかすのフィルター。生活感あふれる風景ですが、これが資源に変わります。

乾いたら、プラスチックのバケツなどに溜めていきます。この時、蓋をしないのがポイント。蓋をすると湿気がこもってしまい、せっかく乾かしたのにカビが生える原因になります。口を開けたまま、風通しの良い場所に置いておきましょう。

2. 米ぬか

米ぬかは、この肥料作りの立役者。微生物のエサとなり、発酵を促してくれます。私は近所のコイン精米所に併設されている「ぬかハウス」から、無料でいただいています。ビニール袋を持っていけば、好きなだけ持ち帰れるので本当にありがたいです。

お近くにコイン精米所がない場合は、JA(農協)の直売所や道の駅などで、一袋100円程度で販売されていることもあります。お米屋さんで分けてもらえることもあるので、ぜひ探してみてください。

3. 無糖ヨーグルト

発酵を助ける乳酸菌の投入役です。スーパーで売っているプレーンタイプの無糖ヨーグルトでOK。毎日食べるついでに、スプーン1杯だけ拝借すれば十分です。

【ズボラさん必見】洗い物なし!ビニール袋で完結する作り方

私は洗い物を一つでも減らしたいタイプ(笑)。丈夫なビニール袋を使えば、混ぜる作業から発酵まで、すべて袋一つで完結できてしまいます。

【手順】

米ぬかと乾いたコーヒーかすがならべておいてある。
ビニール袋に入ったコーヒーかすと米ぬか。振るだけで混ざるので子どもでもお手伝いできます。
  1. 乾いた材料を混ぜる
    丈夫なビニール袋に、乾燥させたコーヒーかすと米ぬかを同量(1:1の割合)入れます。袋の口をしっかり持って、シャカシャカと振って、全体が均一な茶色になるまでよく混ぜ合わせます。
  2. ヨーグルトと水を入れる
    全体が混ざったら、無糖ヨーグルトをスプーン1杯ほど加えます。次に、少しずつ水を加えていきます。ここが一番重要なポイントです!
  3. 水分の調整
    水を少し加えたら、袋の上から材料を揉むようにして混ぜます。そして、ぎゅっと握ってみてください。「手で握ると塊になり、指で軽く押すとホロっと崩れる」くらいの固さがベストです。お団子を作るようなイメージですね。
    水分が多すぎると、良い菌(発酵菌)ではなく悪い菌(腐敗菌)が優勢になり、ドブのような嫌な臭いの原因になります。失敗しないためにも、水は本当に少しずつ、様子を見ながら加えてください。
  4. 空気を抜いて密閉
    水分調整が終わったら、袋の中の空気をできるだけ抜きます。袋の上から材料をギュウギュウと押して、中の空気を追い出してください。これは「嫌気性発酵」といって、空気のない状態を好む微生物に働いてもらうためです。
    空気が抜けたら、袋の口をねじって、固く結びます。念のため、もう一枚ビニール袋を重ねて二重にしておくと、匂い漏れや万が一の袋の破損も防げて安心です。
  5. あとは、ほったらかし!
    仕込んだ袋は、直射日光の当たらない、温度変化の少ない場所に置いておくだけ。途中で混ぜたり、様子を見たりする必要は一切ありません。まさに「ほったらかし管理」です。
    発酵期間の目安は、夏場で約1ヶ月、冬場は2~3ヶ月です。
米ぬかとコーヒーかすが混ぜられて湿っているものを固めた様子。
手のひらで握った肥料のもと。この「しっとり、でもポロポロ」な感触が成功の鍵。

完成のサインと、虫を寄せ付けない保管方法

さて、待ちに待った完成です。袋を開ける瞬間は、少しドキドキしますね。

完成のサインは「香り」

袋を開けて、まずは香りを確かめてみてください。成功していれば、ふんわりと甘酸っぱい、お味噌や醤油のような発酵した良い香りがします。私の感覚では、田舎のおばあちゃんの家の土蔵で香るような、どこか懐かしい匂いです(笑)。米ぬかの香ばしさが感じられれば大成功!

もし、鼻を突くようなアンモニア臭や、腐ったような嫌な臭いがする場合は、残念ながら腐敗してしまった可能性が高いです。水分が多すぎたか、雑菌が入ったのかもしれません。その場合は潔く諦めて、土に埋めるなどして処分しましょう。

乾燥させて保存する

完成したぼかし肥料は、このまま使うこともできますが、水分を含んでいるため長期保存には向きません。カラカラに乾燥させることで、保存性が格段にアップします。

出来上がったぼかし肥料。乾燥してあり白っぽい色をしている。
完成したコーヒーかすぼかし肥料。ふわっとした発酵の香りがします。乾燥させると白っぽくなります。

以前、地面に広げて乾かしていたら、ハサミムシが寄ってきて困りました。それからはAmazonなどの通販で届くマチ付きの丈夫な紙袋に入れ、吊るし干しをしています。こうすると、虫も寄ってきにくく、風通しも良いので効率的に乾燥させることができます。

完全に乾いたら、そのまま紙袋で保管したり、密閉容器に移したりして、必要な時に使います。

使って実感!野菜が驚くほど甘くなる

この手作り肥料、効果は想像以上でした。
これまで何度か化成肥料で育てたことのあるイチゴとミニトマトのプランターに、このコーヒーかすぼかし肥料を追肥として使ってみたんです。

すると、収穫した実を食べてびっくり!
味が濃く、甘みが格段に増しているんです。特にミニトマトは、水っぽさがなくなり、果物のような凝縮された甘みを感じました。イチゴも、市販のものとは比べ物にならないくらい、風味豊かで濃厚な味わいに。

化成肥料が即効性のある栄養ドリンクだとしたら、このぼかし肥料は、土そのものを健康にしてくれる漢方薬のような存在かもしれません。土の中の微生物が元気になり、結果として植物がじっくりと根から栄養を吸い上げられるようになるのでしょう。

何より、自分が出したゴミ(コーヒーかす)が巡り巡って、こんなに美味しい恵みをもたらしてくれるという事実が、心を豊かにしてくれます。環境や植物に負荷がかかりにくい有機肥料なので、量や時期をあまり神経質にならずに、気軽に使えるのも家庭菜園には嬉しいポイントです。

まとめ:小さな循環から始める、豊かなガーデニングライフ

毎日当たり前のように捨てていたコーヒーかす。
それは、ゴミではなく、私たちの暮らしと庭を豊かに繋いでくれる「宝物」でした。

今回ご紹介したコーヒーかすのぼかし肥料は、

  • ほぼ0円で始められる手軽さ
  • 混ぜて放置するだけの「ほったらかし管理」
  • 野菜や果物が驚くほど美味しくなる効果

という、良いことづくめのサステナブルな取り組みです。

キッチンから出るものが、庭の土を育て、美味しい作物となって、また食卓に戻ってくる。この小さな循環を実感できたとき、ガーデニングの楽しさは何倍にも膨らみます。

もしあなたが、コーヒーかすを捨てるたびに少し心が痛むなら、ぜひこの「ほったらかし発酵肥料」作りを試してみてください。きっと、あなたのガーデニングライフが、もっと愛おしく、味わい深いものになるはずです。

最後までお読み下さり、ありがとうございました。


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