【切り戻し不要!】倒れる草花の景観を劇的に改善する裏ワザ|循環型ガーデニングの知恵

庭で元気に育ち、花の重みで倒れかかっている黄色いコレオプシス。 草花
今年も元気に育ちすぎて…嬉しい悲鳴です(笑) この倒れたお花、切らずに素敵に変身させます。

「今年も元気に育ってくれた!」と喜んでいたのも束の間、梅雨の雨や花の重みで、大切に育てた草花がだらしなく倒れ込んでしまった…。

ガーデニングをされている方なら、一度は経験したことがある「あるある」なお悩みではないでしょうか。特に、コレオプシスやコスモスなど、すくすくと背が高くなるタイプの草花は、満開の時期にその重みで倒れてしまいがちですよね。

この状態を解決する一般的な方法は「切り戻し」です。バッサリと茎を切り詰めることで、株がリフレッシュし、再び花を咲かせてくれることもあります。

しかし、この切り戻しには少し勇気がいりませんか?
「せっかく咲いている花を切るのはもったいない…」
「時期を間違えたら、もう今年は花が見られないかも…」
「切りすぎて枯れてしまったらどうしよう…」

そんな不安から、倒れたままにしてしまったり、慌てて支柱を立てて不自然な姿になったり…。私も長年、このジレンマを抱えていました。

しかし、数年前に試してみて以来、我が家の定番となった「花を楽しみながら景観を整え、さらに花数を増やすかもしれない」という、まさに一石三鳥の裏ワザがあるんです。

それは、思い切って切り戻すのではなく、伸びた茎をそのまま地面に倒して固定する、というシンプルな方法です。

この記事では、植物の持つ生命力を最大限に活かした、サステナブルで家庭的なこのテクニックの具体的な方法と、その驚くべき効果について、詳しくご紹介します。

なぜ草花は倒れてしまうのか?原因とよくある対策の落とし穴

そもそも、なぜ元気だった草花が倒れてしまうのでしょうか。主な原因はいくつか考えられます。

  • 花の重み: 最も多い原因です。特にたくさんの花をつける品種は、開花期に頭が重くなります。
  • 雨や風: 雨水を含むとさらに重くなり、強い風にあおられると茎が耐えきれずに倒れます。
  • 徒長(とちょう): 日当たりが足りなかったり、肥料(特に窒素分)が多すぎたりすると、茎が間延びしてひょろひょろと弱々しく育ってしまいます。
  • 株の密集: 株が密集しすぎると、お互いが光を求めて上に伸びようとするため、徒長しやすくなります。

これらの原因で倒れてしまった草花を見て、多くの人がまず思いつくのが「支柱を立てる」か「切り戻す」かの二択です。

支柱を立てる方法は手軽ですが、たくさんの茎を一本一本支えるのは手間がかかりますし、いかにも「支えてます!」という見た目が、ナチュラルな庭の風景を少し損なってしまうこともあります。

切り戻す方法は、株の風通しを良くし、病害虫の予防にもなる有効な手段です。しかし、前述の通り、開花中に花ごと切り落とすのは忍びないですし、何よりタイミングが非常に重要です。特に夏の暑い時期に深く切り戻しすぎると、株が弱ってそのまま枯れてしまったり、秋の花が咲かずに終わってしまったりするリスクも伴います。そこで、これらのデメリットを解消するのが、今回ご紹介する「茎を地面に寝かせてあげる」というアプローチなのです。

植物の力を借りる!「茎を地面に倒す」ことで得られる驚きのメリット

「茎をただ倒すだけ?余計にだらしなくならない?」と思われるかもしれません。しかし、この方法には植物の持つある性質を利用した、素晴らしいメリットが隠されています。

植物には「頂芽優勢(ちょうがゆうせい)」という性質があります。これは、茎の先端にある芽(頂芽)が優先的に成長し、側面にある芽(脇芽)の成長を抑制するというものです。植物が上へ上へと伸びようとするのは、この性質のおかげです。

しかし、茎を地面に水平に倒すと、この「頂芽優勢」が崩れます。これまで抑制されていた脇芽たちが「今がチャンス!」とばかりに、光を求めて一斉に上方向へ伸び始めようとするのです。

この性質を利用し、茎を地面に寝かせてあげることには、以下のようなメリットがあります。

  1. 咲いている花を切らずに済む
    今咲いている花を楽しみながら、景観を整えることができます。
  2. 株全体のボリュームがアップする
    倒した茎からたくさんの脇芽が伸びるため、株元からこんもりとした自然な草姿になり、花数も増えることが期待できます。
  3. 特別な道具が不要でコストゼロ
    必要なのは、茎を地面に固定するピンだけ。これは庭にある小枝や針金で自作でき、まさに循環型ガーデニングにぴったりの方法です。
  4. 倒れにくい株に育つ
    地面に近い低い位置から新しい茎が伸びるため、重心が低くなり、再び倒れにくくなります。
  5. 自然な景観を保てる
    支柱のように人工的なものが目立たず、まるで最初からそこに根付いていたかのようなナチュラルな風景を作り出せます。

【実践編】とっても簡単!「茎を地面に倒す」具体的な手順

それでは、具体的な手順を見ていきましょう。とっても簡単なので、ぜひ試してみてください。

Step 1:準備するもの

  • 固定用のピン: U字ピン(お持ちであれば)、針金をU字に曲げたもの、または剪定した木の枝を二股に分かれた部分でカットして作ったものなど。庭にあるものを活用するのがおすすめです。

Step 2:茎をゆっくりと地面に倒す

ここが一番のポイントです。
倒したい茎の根元を手で押さえながら、「ポキッ」と折れてしまわないように、ゆっくり、優しく地面に向かって曲げていきます。

【重要ポイント】

  • 焦らないこと: 茎が硬い場合は、無理に一度で倒そうとしないでください。少し曲げてみて、「これ以上は危ないな」と感じたら、その日はそこまで。翌日、また少し曲げる…というように、数日かけて植物を慣らしながら倒していくのが成功のコツです。
  • 植物の機嫌を見る: 雨が降った後や、朝方の水やり後など、植物が水分をたっぷり含んでいる時間帯は茎がしなやかで曲げやすくなります。

Step 3:地面にしっかりと固定する

茎が地面についたら、準備したピンで数か所を固定します。節の部分や、葉が出ている付け根あたりを狙って留めると、しっかりと固定できます。
倒した茎が地面と密着するようなイメージで留めていきましょう。

Step 4:あとは見守るだけ!変化を待つ

固定が完了したら、あとは特別な手入れは不要です。いつも通り水やりをしながら、植物の変化を観察してみてください。

2〜3週間もすると、倒した茎の節々から新しい脇芽が、空に向かってニョキニョキと伸びてくるのが分かるはずです。そして、その新しい芽の先に、やがてたくさんの花芽がついてきます。

倒した親の茎についていた花が終わりを迎える頃には、新しい子どもの茎たちが花を咲かせ始め、開花期間を長く楽しむことができるのです。

倒した茎のわき芽から花茎が伸びている様子

この方法が「向いている植物」と「苦手な植物」

この方法は万能ではなく、植物の種類によって向き不向きがあります。自身の経験から、いくつか例を挙げてみますね。

【向いている植物の例】

  • コレオプシス(写真の植物もこれですね)
  • ジニア(百日草):特に背が高くなる品種が倒れ始めた時にぴったりです。
  • コスモス:秋の台風シーズンなどで倒れやすい代表格ですが、この方法で長く楽しめます。※茎が折れやすい場合があるので、特にゆっくり、優しく作業してくださいね。
  • セージ類:メドーセージのように、しなやかに長く伸びるタイプのセージはこの方法にとても向いています。

【あまり向いていない植物の例】

  • 茎が木質化しているもの: ラベンダー、ローズマリーなど
  • 茎が太く、中が空洞で折れやすいもの: ダリア、ヒマワリなど
  • 株元から葉がロゼット状に出るもの: ギボウシ、ヒューケラ、クリスマスローズなど

ご自身の庭の植物の性質を観察しながら、試せそうなものからチャレンジしてみてください。

「茎を倒す」ひと手間から広がる、循環型ガーデニングの楽しみ

この「茎を地面に誘引する」という方法は、単なるガーデニングテクニックに留まりません。私たちの庭づくりを、より豊かでサステナブルなものにしてくれるヒントが詰まっています。

例えば、固定ピンを剪定枝で作ることは、庭で出たゴミを資源として再利用する第一歩です。倒した茎が地面に接している部分から、いつの間にか根が出て、新しい株として独立することもあります(これは草花でよく使われる「茎伏せ」という増やし方と同じ原理ですね)。そうなれば、お金をかけずに新しい苗を手に入れたことになります。

植物の力を信じて、少しだけ手を貸してあげる。
庭にあるものを工夫して、賢く使う。

そうやって自然のサイクルの中に身を置くことで、私たちは植物を「管理」するのではなく、共に「暮らしている」という感覚を強く持つことができるのではないでしょうか。

まとめ

今回は、背が高くなって倒れてしまった草花を、切り戻さずに景観を整える方法をご紹介しました。

  • 倒れた茎は切らずに、そのまま地面に優しく倒して固定する。
  • 植物が本来持つ「上へ伸びる力」を利用して、脇芽の成長を促すのが狙い。
  • 花を楽しみながら、株のボリュームアップと花数アップが期待できる。
  • 庭の小枝などを活用すれば、コストゼロで実践できる循環型テクニック。

「倒れてしまってがっかり…」というネガティブな出来事を、「株をリニューアルする絶好のチャンス!」と捉え直すことができる、逆転の発想です。

もし今、あなたの庭で花たちがだらしなくお辞儀をしてしまっていたら、ぜひこの「茎を寝かせてみる」方法を試してみてください。植物が秘めた力強い生命力に、きっと驚かされるはずです。

最後までお読み下さりありがとうございました。


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