【実体験】アブラムシとの格闘を農薬なしで乗り越えた私の3年間。落胆から始まった小さな生態系づくりの記録

イチゴの葉っぱの上に2cmに満たない大きさのカマキリのあかちゃんが乗っている。 庭づくり
アブラムシが大発生したらどうしますか?

「今年も庭がアブラムシで真っ黒…」
「スプレーを撒いても、ガムテープで取っても、キリがない…」

かつての私も、あなたと全く同じ用に途方にくれていました。ガーデニングは癒しのはずなのに、日に日に増える虫との戦いに、心がすり減っていく毎日。

でも、もし農薬を一切使わずに、3年後にはアブラムシをほとんど気にしなくていい庭が手に入るとしたら、信じられますか?

これは、特別な知識もなかった私が、ただ「庭の自然」を信じて見守り続けた結果、私の小さな庭で本当に起こった記録です。

第1章:アブラムシとの格闘の始まり(1年目)

全ての始まりは、ささやかな夢からでした。
「自分で育てたカモミールで、夜にリラックスできるハーブティーを飲みたい」
そう思って撒いた種はすくすくと育ち、庭の一角は見事なカモミールの群生地に。白い小さな花が風に揺れる光景に、私は心から満足していました。

しかし、その幸福な光景が一変するのに、そう時間はかかりませんでした。

ふと気づくと、カモミールの緑の茎が、なにかボコボコしている?なんとアブラムシでした。それも、一匹や二匹ではありません。茎という茎に、みっちりと、うごめくように。とてもじゃないですが、これをハーブティーにしようという気にはなれませんでした。

最初は、健気にもガムテープでペタペタと貼り付けて取っていました。しかし、取っても取っても、翌日にはまた新しいアブラムシが生まれている。まさに無限アブラムシ。次第に私の手は止まり、なすすべなくその光景を放置することしかできなくなりました。

この年の私の庭は、植物の種類もまばらで、生命力に溢れているとは言えない状態でした。唯一満開に咲いてくれたカモミールの残念な姿、やるせない気持ちでした。

第2章:新たな訪問者と気づき(2年目)

1年目のアブラムシ地獄の記憶がまだ新しい2年目。私は、前年に被害を受けたカモミールを積極的に植えることはしませんでした。代わりに、違う種類の植物を少しずつ増やし始めました。

すると、庭の景色が少しずつ変わり始めます。
その年、私の庭を襲ったのは、収穫後のスティックブロッコリーに集まる「ベニツチカメムシ」と、植えたばかりのキュウリの葉を好む「ウリハムシ」でした。

「またか…」とため息をついた私でしたが、ふと、あることに気づきます。
「あれ?そういえば、アブラムシが去年ほどひどくない」

ブロッコリーはアブラムシが大好きなアブラナ科です。
もちろんゼロではありません。でも、あの悪夢のような「みっちり地獄」というわけでもありません。不思議でした。私は農薬を撒いたわけでも、何か特別な対策をしたわけではなかったからです。

そんなある日、ブロッコリーの葉の上に、待ちわびていて助っ人「テントウムシ」を見つけました。言わずと知れたアブラムシを食べてくれる益虫の代表です。
(ちなみに、テントウムシだけでなく、あなたの庭を助けてくれる様々な益虫の生態や、彼らが好む環境については、こちらの【庭の守り神】カマキリだけじゃない!ガーデニングの味方「益虫」を知って減農薬の庭づくりで詳しく解説しています。興味のある方は後で読んでみてください。)

「やっぱり、アブラムシが増えるとテントウムシが食べに来てくれるんだ!」
心の中で万歳しました。

この時、同時に思いました。
「このベニツチカメムシも私が何もしなくても、何か他の天敵や環境の奪い合いで自然と減るんじゃない?」

この小さな気づきが、私のガーデニングの転機となりました。

第3章:バランスの取れた庭へ。生態系の答え(3年目)

3年目の春。私はもはや、特定の虫を敵視することなく、ただ庭に多様な植物を増やすことに夢中になっていました。キク科、ナス科、バラ科、セリ科、イネ科、シソ科…。様々な種類の植物を植え、花を咲かせる庭は、それだけで賑やかでした。

すると、驚くべき変化が訪れます。
あれほど私を悩ませたアブラムシ、カメムシ、ウリハムシを、ほとんど見かけなくなったのです。

もちろん、彼らが完全に消え去ったわけではありません。見かけることもまれにあります。でも、大発生して植物を枯らしてしまうような「害」は、全くなくなっていました。

私の庭には、今やたくさんの「住人」がいます。
空には蝶やミツバチ、名前も知らない小さなハチ。地上には、夜になると活動するハサミムシや、葉陰に巣を張るクモ。彼らが、私の代わりに庭のバランスを取ってくれていたのです。

極端に一つの種類の虫が増えれば、それをエサとする別の虫が集まってくる。
アブラムシが増えれば、テントウムシがそれを捕食しにやってくる。
私の庭は、3年という歳月がかかりましたが、ゆっくりと偏った庭から脱していきました。

結論:最高の庭師は「生態系」そのものだった

振り返れば、私がやったことはシンプルでした。

  1. 多様な植物を植えたこと(植生の多様化)
  2. むやみに農薬を使わなかったこと

たったこれだけです。
私が特に薬剤で「悪者」を排除したわけでも、必死に捕殺したわけでもないのに、庭は健やかに変化していきました。

この経験から私が学んだのは、「アブラムシは敵ではなく、生態系のバランスが崩れていることを教えてくれるサイン」だということです。そして、そのバランスを取り戻す最良の方法は、人間が介入しすぎることなく、多様な生き物が住める環境を整え、あとは「お任せ」することでした。

私はきれいな花を観賞し、美味しい野菜を少し収穫できれば、それで十分です。虫を一匹も見たくない、というゼロか百かの考え方ではなく、彼らも庭の住人として共存できればいいと思っています。

多様な植物を植えることは、多様な生態系を育むことに繋がります。そして、その小さな生態系の変化を日々観察することが、今の私にとって最高のガーデニングの楽しみになっています。

もしあなたが今、アブラムシとの戦いに疲れているのなら、一度、その手を止めてみませんか?そして、あなたの庭に、新しい種類の花を一つだけでもいいので植えてみてください。

そこから、あなたの庭だけの新しい変化と発見があるかもしれません。

【もっと詳しく知りたい方へ】

今回の記事でも触れたテントウムシをはじめ、あなたの庭を農薬なしで豊かにしてくれる頼もしい仲間たちがたくさんいます。

彼らの詳しい生態や、庭に呼び込むための具体的なヒントについては、こちらの記事にまとめています。ぜひ、あなたの「生態系づくり」の参考にしてみてください。

→ 【庭の守り神】カマキリだけじゃない!ガーデニングの味方「益虫」を知って減農薬の庭づくり

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